きのみきのまま

女子大生の読書備忘録

『ラーメンの歴史学――ホットな国民食からクールな世界食へ』バラク・クシュナー

ラーメン好きですか?私は大好きなので思わず手に取ってしまいました。序に「歴史と食――この二つは明らかに表裏一体のもの」と書いてあって、それは他の本を読んでいて感じるところだなと思いました。

ラーメンの歴史学――ホットな国民食からクールな世界食へ

ラーメンの歴史学――ホットな国民食からクールな世界食へ

バラク・クシュナー(1968~)

歴史学者。プリンストン大学から博士号を取得。

1.ラーメンの誕生するまで

「日本人が麺類をこよなく愛するようになり、やがて禁止令を出す寺もあるほどだった江戸時代、麺類をはじめとするシンプルな食べ物の生産が大幅に増加し、武士と町人を問わず、そして遠距離を旅する人々にも販売されるようになった。」(p.101)

蕎麦やうどんが浸透するなかで、その他の麺類に興味がむかっていった。日本の各地により大きな食の市場が出現したことが、食の革命をラーメンの誕生へと推し進めていったそうだ。ちなみに、徳川光圀がラーメンの発明者でも、日本にラーメンを紹介したでもないのは、ほぼ間違いないという。

「日本食の基準を作ったのは江戸であり、それがラーメンが登場する土台を作ることにもなった。」(p.116)

肉食はラーメン誕生への決定的一歩で、肉はラーメンのスープにも、上に載せる具材としても不可欠だ。だから、江戸の歴史を振り返ると、日本人がいつから肉を食べ始めたか、という謎を解く手助けになるかもしれないという。

2.ラーメンの誕生

「ラーメンが日本の食品市場に登場したのは、新しい食品技術が発展し、中国が存在感を増し、超富裕層と抑圧された貧困層との格差が拡大するという、大きな変化の嵐のさなかだった。」(p.204)

ラーメンは米中心の食事に代わって満腹感の得られる、安くて栄養のある食べ物だった。高級な食べ物でもなく、庶民由来でもなく、まったく新しい麺料理だった。また、食事というより軽食という人、一種のファストフードである人、手軽な食事だという人、立場によって多様な目的を果たしていった。

[感想]

ラーメンの進化は、驚くほど複雑な文化の伝播プロセスと農業の発達、日本人の食事形態の変化そして思いがけない偶然が、それぞれほぼ同量で混ぜ合わさった結果だといえる。また、本著は日本の食の歴史を振り返るなかでラーメンに焦点をあてているが、食べ物が足りない時代から、十分な食べ物に恵まれた社会へ、そして今や食べ物を捨てる社会へと変化してきた中で、東アジアの隣国との交流を通して発展していく過程を丁寧に描いている。歴史を知って食べるラーメンは、また違った味がする。